interview

2016年5月30日

フリークアウト安倉さんの中途半端野郎から海外子会社代表への道

自分を変える1歩はまず自分(後編)

IT業界で活躍するあの人の仕事感を人生観や意外な一面を探るこのIT仮面シリーズ。第1回目前編では、フリークアウトインドネシア支社代表取締役・安倉知弘さんに、中途半端野郎から一転し、自分の意思を持ってサバイバルなビジネス経験を積んだ経緯をお伺いしました。

その後、フリークアウトに転職した安倉さんは、人事部立ち上げからインドネシア支社立ち上げ、さらにはプライベートでもご結婚・お子様誕生など、様々な人生のドラマが待ち構えていました!

株式会社フリークアウト

インドネシア支社代表取締役

安倉 知弘

株式会社リクルートHRカンパニー、DeNAを経て、2013年6月に株式会社フリークアウトにジョイン。人事マネジャーとして、新卒中途採用、制度、育成など主に新規施策開発をミッションとしつつ、スマホ局の立ち上げや社内外イベント担当として携わる。2015年8月、フリークアウト・インドネシア支社代表取締役に就任し、現地にてネイティブ広告プラットフォーム事業の立ち上げ〜経営戦略・サービス展開を行う。

フリークアウトの存在意義を問い続けた人事部門立ちあげ時代

石根:DeNAからフリークアウトに転職した安倉さん。まずは何をされたのですか?

 安倉:人事部門の立ち上げです。当時は人事部門という組織がなく、経営者が採用・組織にコミットしていたところを部門として切り出しました。その中でも僕が一番コミットしていたのは新卒採用です。フリークアウトの存在意義や価値観を正しく伝えて、それを実現しうる基礎能力を持ちかつ僕らのビジョンにも共感してくれる学生だけを採用するという極めて採用ハードルの高い採用活動に注力していました。結果、即戦力な新卒達が入社したのはもちろん、深い部分での価値観を擦り合わせているので、第一線で大活躍しています。新卒が活躍すると社内にも活気が出ますね。

石根:安倉さんの思う、 FreakOutの存在意義とは何ですか?

安倉:「高度なテクノロジーと機械学習を強みに、最速で改善を積み重ね、新しい価値を生み出し続ける」ことですね。フリークアウトは、広い意味での広告業界として最後発の部類の会社、普通のことをしていては、存在価値がありません。新しさの探求がなくなれば、技術のハードルもすぐに追いつかれてしまいますよね。アイデアベースではなく技術ベースで新しいものを生み出し続けるのがフリークアウト流。ですので、エンジニアでなくとも、全員が技術をリスペクトしていますし、ビジネス職であってもプロダクト開発に責任をもっています。

 

異国の地に単身で乗り込み、ゼロからの会社立ちあげ!?

石根:ありがとうございます。人事部立ち上げののち、インドネシア子会社・代表に抜擢された安倉さん。どのような経緯だったのですか?

安倉:フリークアウトがこれから積極的に海外展開というタイミングで、なにかの飲み会の帰り際に、COOの佐藤から「海外とかどう?」と唐突に球が飛んで来て、0.1秒で「やります」と打ち返した記憶あります(笑)。

僕のミッションは、まずは現地チームでビジネスを完結できる仕組みを作ることです。そのために、まずはとにかく、採用に全てを注ぎました。1日に4〜5人に会い、2週間で40名近く会いました。英語も全然できないので、伝えたいことだけ丸暗記して臨むという体当たりな日々でしたね。初日は英語面接の自信もなく、「このまま来ないでほしいな…」とも思いましたよ(笑)。

石根:本当に自信がなかったんですね(笑)。どのように採用基準を設けていたのですか?

安倉:文化も言語も違う国、人間性や能力による判断は難しいので、モバイル広告市場に僕らと同じ課題を感じ、事業にしっかり向き合ってくれる人材を採用しようと決めていました。具体的には、僕がやりたいことを説明し、賛同するだけでなく、冷静に課題点を多く挙げてくれるかどうかをしっかり見ていました。

DSC_0658

初めて採用したメンバーは女性で、僕の説明に対して、「このプロダクトはとてもクールだわ!」と大興奮してくれた一方で、市場の現状と課題、考えうる解決方法を語ってくれて、まさにこの事業にぴったりな人物。彼女は今ゼネラルマネージャーとして、欠かせない存在です。

石根:採用方針は間違っていなかったと言うことですね。

安倉:このようにして、3か月は採用・組織創りに集中し、能力高く情熱に溢れたリーダー層を迎え入れ、今では10人のメンバーに成長し、短期施策や目標管理は現地メンバーに任せながらも単月で収益をあげることができるまでになりました。僕は、中長期な戦略を描くことやメンバーのキャリア開発にフォーカスしています。インドネシアは、日本の数倍市場成長のスピードが速く、一ヶ月同じことやっていると時代に取り残される可能性のある市場です。常にクライアントの声を聞き、次に何が重要指標になってくるのかを数ヶ月、数年先まで予測することが重要なんですよ。

一方インドネシア人はキャリア開発にすごく貪欲なので、毎月メンバー1人ひとりと対話する時間をとって、「どんなことやりたい?」「次はこんな挑戦をしていこう」という、キャリア開発をしっかり時間をとって行っています。

 石根:立ち上げから3ヶ月で組織を整えるとは…爆速ですね。大変なこともたくさんありますよね。

安倉:それが、あまりないんですよね(笑)。よく言われるのがインドネシア人は全然働かない、細かく指示出さないと応用できない、とか言われているのですが、おそらくそれは平均値人材の話で、優秀な人は日本人の優秀層と比べても全然変わりません。またメンバーと「ここまでやる」という成果を握ったあとは、自由主義にしているのでメンバーの労働時間とかは全然気にしていません。

僕は、仕事は自分の人生を豊かにする為のもっとも影響の大きいものであると考えている一方、家族や自己投資の時間ももちろん大事にすべきだと思っているんです。会社を自分の人生を豊かにするために利用してほしい一方で、会社も豊かになるために、お互いに成果をすり合わせ、対等な関係性を築くという考えかたですね。

また、就労感覚の違うインドネシアでは自分の仕事に対する価値観を強要しないことは意識しているところですね。例えば、僕は土日や平日夜中も好きで働くことがあるのですが、メンバーからすると「平日遅くまで仕事やらないといけないのかな」という空気になりかねません。そこは、「僕は暇だし仕事が趣味だからやっているだけで、真似する必要は全くない。週末は自分の人生を豊かにするために時間を使ってね。僕はそれが仕事というだけだから。」ということをきちんと言葉にして伝えています。「これだから日本人は仕事マシーンだ、と言われるんだ」といつも笑われています(笑)。

yasukurasan_indnesia

フリークアウト・インドネシア子会社メンバー

 

石根:自分の時間を大切にする、強要しない…とても安倉さんらしいですね。子会社立ち上げで最も嬉しかったことは何でしょう?

安倉:嬉しかったことは、やっぱりお客様が自分たちのサービスを良いと思ってくれた時ですね。

インドネシアのモバイル広告はまだウザいバナー広告中心ですが、僕らは、モバイルからバナー広告を無くし、ユーザーに負担のないネイティブ広告にシフトしていこうという啓蒙的な挑戦をしているんですよ。

メディアにとってもユーザーにとっても、コンテンツを阻害しない広告のほうが価値が高いですし、ネイティブフォーマットがモバイル広告の中心になるという信念をメンバー全員が強く持っています。それを理解してくれた方が徐々に増えていて、メディアからも「良いプロダクトを日本から持ってきてくれてありがとう」という言葉を頂く機会が増えました。また広告主に対しても、エンゲージメントの高いユーザーを送客できていることが分かり、この3月からは常に広告在庫が足りなくなるくらい好調に推移しています。

メンバーが強い信念を持っていることがすごく嬉しいし、それに着実に近づいている実感ができるのは、本当にありがたいです。

石根:ここまでのお話で、安倉さんの静かな闘志をとても感じましたが、その原動力は何でしょうか?

安倉:自分の意志で機会を創り、行動することで、やりたいこともなくずっとくすぶっていた自分が大きく根底から変われることを実感しました。僕の信条は、リクルート創業者江副さんの言葉である、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」です。新しい機会に自ら飛び込んで自分の価値観も変えていき自分の人生が確実に豊かになったという実感を持っているので、今度は僕自身が海外で事業成果をあげ、新卒や海外で働きたいと考えている社員に転職以外にも社内でそういった新たなチャレンジの機会を用意していけるようにと考えています。

石根:では、次の安倉さんの目標をお教えください。

安倉:海外の広告市場にて、 Google , Facebook は日本市場以上に群を抜いて圧倒的な存在なのですが、そこに FreakOut が並ぶ世界観を創りたいです。1-2年でインドネシア国内、3-5年で東南アジア全域、5-10年で世界、そういった時間軸で実現していきたい、と考えています。また、FreakOut 内で、海外で働くというキャリアの幅を広げ、メンバーが自ら選択した役割で活躍できる環境をさらに幅広く作っていきたいですね。

石根:ありがとうございます。ところで、安倉さんは3月末にお子様が生まれ、パパになったばかりですよね。単身インドネシアで、お忙しい中、家族に対してはどんなお考えをお持ちですか?

安倉:家族は一番大事ですよ。仕事は、自分の人生に密接に関わってくれる家族を豊かにするという側面もありますから。奥さんや息子の存在があるから、仕事を楽しみながらもしっかりと成果を出すという責任をバランスよく感じれます。子供も生まれたばかりなので、離れて暮らすのは正直寂しいですが、その分インドネシアで絶対に成果をあげて、この離れた時間を後悔ないものにしてやる、という覚悟でやっています。

yasukurachildren

安倉さんの息子さん・瑛翔(えいと)くん

息子には、「無難に生きるな。どんどん失敗しろ。」と背中を押し続けたいです。僕が心の豊かさを得たのは、「無難に生きる」というレールから外れた時からでした。息子には、自らの人生を自由に切り開いてほしいです。

 

—————インタビューここまで

 

仕事にも家族にも、全力で愛を注ぎ、自らを開拓していく安倉さん。「息子も結局安定志向で公務員なるかもしれんけどね(笑)自由に生きればいいねん。」と笑う安倉さんに、人間としての器の大きさを感じました。

今後の安倉さんに、大注目です!

取材・文石根 友理恵

グラスタweb編集長。87 年広島生まれ。神戸大学国際文化学部卒業後、IT業界の道へ。2011年サイバーエージェント→2012年ワンオブゼムを経て、2015年より独立。webメディア運営・執筆と日本アジアドラマ共同制作プロデュースという異なる2つの事業に従事するパラレルキャリアを実施中。17年5月に第一子を出産、「仕事と子育てを自分らしく営む」が人生のテーマ。 http://mamawork.life/