interview

2016年6月28日

編集長かつタレント!?

グラスタ編集長・坪井さんの険しく”欲張り”な道

IT業界で活躍するあの人の仕事観や人生観から意外な一面を探るこのIT仮面シリーズ、第3回目は、IT業界誌『Grand Style』(グラスタ)編集長・坪井安奈さんにお話を伺いました。
坪井さんは、慶應大学在学中、日本テレビの朝番組にレギュラー出演するなど、学生レポーターや学生キャスターを経験。卒業後は小学館に入社し、編集者として女性週刊誌を担当していましたが、芸能活動を行うにあたって、2013年小学館を退職。現在は株式会社グラニで本誌グラスタ編集長を手がけながら、タレントとしてテレビやラジオなど幅広く活動中です。

「職業が1つじゃないとダメなんて、誰が決めたの?」
どんな夢も諦めず全力で進む、坪井さんのストイックな人生をご紹介します!

株式会社グラニ・IT業界誌『Grand Style』編集長

坪井 安奈

慶應義塾大学を卒業後、小学館に入社。『女性セブン』の編集に携わる。2013年12月、タレント活動を始めるに際し、同社を退社。2014年1月にグラニに入社し、同年6月に『Grand Style』を創刊。タレントとしてはサンズエンタテインメントに所属し、テレビ、ラジオ、雑誌、CM、イベントなど幅広く活動中。出演番組に、『白熱ライブ ビビット』(TBS)、 『TOKYO TECH STREET –MONDAY GIG-』(楽天FM)など。

 

「やりたいことを両方やればいい」編集長とタレントを両立するワケ

 

石根:IT業界誌グラスタ第1号発行から約2年。これまで6号もの雑誌を発行しましたが、手応えはいかかですか?

 

坪井:雑誌としての安定感が出てきたかなと思います。最初は、「ゲーム会社がIT業界誌、しかもwebではなく紙媒体」ということに疑問を持っていた方もいたかもしれませんが、地道に発行し続けるうちに徐々に知名度もあがり、今では「IT業界雑誌といえばグラスタだね」と言っていただけることも増えました。
また、編集部の人員が拡大し、本誌に彩りも出てきたと感じます。3号まではほぼ1人で取材・執筆・編集をしていたので、泣きそうになる時もありましたが(笑)、今はデザイナーやライターなど編集部員も増え、誰かと意見を交わすことで新しい企画や視点が生まれることを強く感じています。

 

石根:このボリュームの雑誌を1人で作るなんて、それは過酷な作業だったのでは・・・?辛かったエピードについて何かありますか?

 

坪井:入稿前に徹夜が続いたり、休みが全然ない時もありましたね。たしかに辛いことも多かったのですが、あの時はとにかく無事に雑誌を完成させることに必死でした。雑誌というのは、一見華やかなイメージを抱かれることが多いのですが、実際にはとても地味で泥臭い仕事です。文字と向き合いすぎて、文字が嫌いになったことも何度もあります(笑)。ただ、不思議なんですが、「もう一生雑誌なんてつくるもんか!」と思う瞬間があっても、できあがったグラスタを見た方から、「この企画面白かった!」「取り上げてくれてありがとう」など感謝の声を聞くと、それまでの辛さはどこへやら、すぐに次の号の企画を考えている自分がいました(笑)。「面白かった」や「ありがとう」の一言ですべての苦労を忘れるんです。魔法の言葉ですよね。

 

石根: 愛情を込めた作品だからこそ、感謝の重みがあるのでしょうね。坪井さんは、編集長とタレント活動という二足のわらじをはいていますが、そのきっかけを教えてくれますか?

 

坪井:私は大学時代に、「自分という媒体を通じて物事を伝えること」に興味があり、学生レポーターや学生キャスターの活動をしていました。学ぶことばかりで、出演するという仕事に奥深さを感じていたのですが、そのうちに制作側にも興味が湧いてきてしまったんです。現場でディレクターの方々の仕事を見ていて、1つの商品を紹介するにしても、手がける人によって見せ方が全くことなることに面白さを感じました。「根本的な伝え方を設計する」制作の仕事もとても魅力的に映ったんです。
結果的に就職活動では、悩みながらアナウンサーと制作側の両方の職種を受けていたんですが、ご縁があって小学館に内定を頂き、伝え方を設計する制作側の道に進むことに決めました。

配属された女性週刊誌では、あらゆる取材や執筆に関わらせてもらい、文章スキルを磨く日々は難しくも楽しく、あっという間に日々が過ぎていきました。ところが、25歳になった時にふと思ってしまったんです。「私は今、一番やりたいことやっているのか。いつか結婚して家庭を持つことを考えると、自分のために使える時間はとても限られているのではないか」と。そして、「就職活動では1つを選ばないといけないと思っていたけど、やりたいなら出演側も制作側も両方やればいいじゃん」と思ってしまったんです(笑)。本当に欲張りですよね。でも、職業は1つ選ばなければと勝手に決めていたのは自分自身だったんですよね。

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石根「両方やりたい!」って・・・(笑)。なかなか見いだせない答えですよね。

 

坪井:あまり前例は見たことがないけれど、実現できる方法を考えてみようと決意したタイミングで、偶然グラニの現・副社長である相川さんから連絡をもらったんです。

 

石根:なんと!そのタイミング、相川さんは狙っていたのですか?

 

坪井:いえ。その頃グラニでは、PR・広報を探していたんです。そこで、私の周りに転職を考えている知り合いがいないかと連絡がありました。ちょうど転職活動している友人がいたので、友人紹介のために3人で会うことになりました。

 

石根:すると友人ではなく、坪井さんと意気投合したと(笑)。

 

坪井:私もまさか自分がグラニに入社するとは思っていなかったんですが、「異なる2つの職業を両立させたい」という私の考えに「面白そうだから、うちでやってみなよ」と賛同してくれて。まさかそんなにすぐ実現できる環境が見つかるとは思っていなかったですし、ただただ運が良かったというか、縁があったとしか言えないですね。自分が何かやったのだとしたら、その時に”決断”したっていうことだけです。このチャンスを今掴もうと、小学館を退社し、グラニに転職を決めました。グラスタをつくり始めたのは、そこからです。

 

石根:強い意志が引き寄せたというか、まさに運命だったんでしょうね。タレント業はどんなことをしていますか?

 

坪井:今は『白熱ライブ ビビット』というTBSの朝の情報番組で芸能リポーターをやらせてもらったり、楽天FMの 『TOKYO TECH STREET –MONDAY GIG-』でラジオパーソナリティーを担当させてもらったり、というのが主な活動です。他にも、バライティ番組やイベントのMCなど、幅広く活動しています。今は「これはやりません」と言える立場ではないので、特に制限をかけていません。お芝居など挑戦したいことはもちろんありますが、まずは自分の得意とすることや、周りに求められるものを120%でやりきった上で、さらなるチャレンジの機会があると信じています。

 

石根:なるほど、”タレント業”というと、「ミーハー」という声も受けることもあるかと思いますが、職業としてはとても険しい道ですもんね。

 

坪井:私がいつも意識しているのは、「好きなことを仕事にするには、それで食べていけないと意味ない」ということです。”好きなことを仕事にする”とは、“自由に好き勝手やる”という意味ではなく、きちんと自立した上で自分がなりたい姿に近づくことだと思うんです。タレントと会社員両方をやっていると言うと、「中途半端だ」「2つやるなんて本気度が足りない」などと言われることがあるのですが、私は自分がやりたくて両方の仕事をしていて、それで今一人で生きることができているし、そんなことを言われる筋合いはないと思っています。もちろん、そのために犠牲にしてることたくさんあるし、不安だし、毎日毎日「これで大丈夫なのか」と自分に問いかけます。ただ、その度に、「自分が好きなことなのに頑張れなかったらもう終わりじゃん。ここで逃げたら他のことは絶対に頑張れない!」と思うんです。「好きなことを仕事にする」と口にするのは簡単ですが、実際には相当な覚悟が必要だと思っています。

 

仕事・プライベートの境界線なく自分の人生を楽しむ

 

石根:タレントとしても心から応援しています。何事もストイックに取り組んでいる坪井さんですが、プライベートの時間がありますか?

 

坪井:うーーん…。私は、仕事もプライベートも同じ自分の人生の中の時間だと見ているので、あまり境界線を引いていないんです。むしろ、趣味が仕事に、仕事が趣味になることが一番幸せなだと思っています。
たとえば、趣味の麻雀。アニメをきっかけに麻雀を始めましたが、グラスタで100人規模の麻雀大会を開いたり、タレントの仕事で麻雀番組に出演させてもらったり・・・。趣味である麻雀の腕を磨くことが、結果的に仕事に繋がることはとても幸せですよね。

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石根:—つのことに複合的な意味を持たせる、坪井さんの才能ですね。では最後に、今後の坪井さんの目標を教えてください。

 

坪井:まずグラスタですが、5月からグラスタwebもスタートしました。紙とweb、それぞれの特性を活かしうまく連動させ、『Grand Style』というブランドを確立させていきたいです。グラスタは、IT業界の魅力を伝えるメディアですが、魅力というのは、数字では計れない人となりなどから見えてくるものだと思っています。なので、今後も紙、webともに各社のサービスを紹介するというよりは、人やカルチャーにフォーカスする媒体として運営していきます。
タレントとしては、先ほどと重複しますが、まずはいただいた仕事に全力で向き合いたいと思っています。良い意味で期待を裏切るような、120%で応えられる仕事をしたいです。その上で、新しい挑戦の場をもらえるように頑張りたいと思います。具体的には、お芝居や演技の仕事にもチャレンジしていけると嬉しいです。

—–インタビューここまで—–

 

 

一見しなやかで明るい坪井さんですが、実はストイックで、自分の決めたことをやりきるため、どんな努力も惜しまない方でした。

「他のタレントのように十分に時間が取れないから」という理由で、グラスタの作業をしながら美顔器を顔にあて、「私のモットーは”ながら作業”。編集長としてもタレントとしても力を抜かないように、自分のケアはできる時間全部使ってやるんだ」と何気なくいう坪井さんに、うちに秘めた意志の強さを感じました。
今後も坪井さんの活躍にご注目ください!

 

 

取材・文石根 友理恵

グラスタweb編集長。87 年広島生まれ。神戸大学国際文化学部卒業後、IT業界の道へ。2011年サイバーエージェント→2012年ワンオブゼムを経て、2015年より独立。webメディア運営・執筆と日本アジアドラマ共同制作プロデュースという異なる2つの事業に従事するパラレルキャリアを実施中。17年5月に第一子を出産、「仕事と子育てを自分らしく営む」が人生のテーマ。
http://mamawork.life/