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2016年11月29日

C CHANNEL × DELISH KITCHEN

毎日のおいしいを届けるシンプルな工夫

何気なく開いたSNSに流れてくるおいしそうな料理に、思わずスクロールの手が止まった経験はありませんか?縦動画をいち早く提唱し動画メディアを先導してきたC CHANNELと、料理動画の走りとして急成長を遂げるDELISH KITCHENのお2人に、それぞれのメディアの今と未来を伺いました。
※この記事は、2016年10月発行『Grand Style』の記事を一部編集したものです。

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(右)株式会社エブリー DELISH KITCHEN編集長 菅原 千遥(すがわら ちはる)
2012年、慶應義塾大学を卒業後、大手IT企業へ入社。’15年9月、株式会社エブリーを共同創業。編集長として料理動画メディア『DELISH KITCHEN』を立ち上げる。

C Channel株式会社 泊 大輔(とまり だいすけ)
関西学院大学卒業後、毎日放送株式会社勤務を経て、’16年7月にC Channel株式会社へ入社。現在はフードアカウント・ブランドマネージャーを務める。

※この記事は、2016年10月発行の『Grand Style 8号』の記事を一部編集したものです。

 

総合メディアと専門メディア

 

菅原:今日は宜しくお願いします。DELISH KITCHEN編集長の菅原です。

 泊:こちらこそ、宜しくお願いします。C CHANNELでフードアカウントのブランドマネージャーをしている泊です。

 菅原:DELISH KITCHENは、「明日だれでも簡単に美味しくできる料理レシピ」がコンセプトの料理動画メディアです。「今日は何作ろう?」「昨日と同じだと、家族に申し訳ない…」などと悩んでいる主婦の方、また、「料理をしたことがない」「難しそう」という初心者の方に、「これ作ってみようかな」と思えるきっかけを提供したいと思っています。20代~40代前半の幅広い層の女性の日常に根づいたサービスを目指しています。

 

:C CHANNELも、今まで料理をあまりしてこなかった人が、料理をしたくなるような動画作りを心がけています。人には、それぞれステージが変わる時期があります。大学生になり1人暮らしを始めた時、就職した時、結婚して旦那さんができた時…。そうやってステージが変化する時期は、料理を始める良い理由にもなります。その時に動画を見て、料理を始めるきっかけにしていただければと思っています。
C CHANNELは、フード以外にも、ファッションやメイク、DIYなど複数のジャンルがあるのが特徴です。女性の総合誌のように、いろいろな情報をキャッチしたいという20才前後の方をメインターゲットにしています。

 菅原:C CHANNELさんの総合メディア対して、DELISH KITCHENは専門メディアと言えるかもしれません。当社では、1メディア1ジャンルの体制で運営し、グルメ以外には、ニュース、女性ライフスタイル、ママ向けなどのメディアがあります。たとえば離乳食の動画を作るなら、DELISH KITCHENではなく、ママ向け動画メディアのMAMA DAYSで提供するというように、ジャンルごとの特化を重視し、ターゲットを明確にすることが狙いです。

:サービス名=内容だと、一目見てわかりやすいのがいいですよね。Facebook上では、うちもC CHANNEL Food、C CHANNEL Beauty(ヘアメイク・ファッション)などのようにサブアカウントに分けています。C CHANNEL本体が総合誌、サブアカウントが専門誌のようなイメージですね。

菅原:他のジャンルを参考にすることはありますか?

 泊:ありますね。「厚い紙束をホチキスで簡単にとめる裏技」という動画の再生回数が伸びた時に、裏技系の動画をヒントに「ぶどうを簡単にキレイにむく方法」という動画を配信したんです。すると、これが結構再生されまして。「裏技」や「知って得する」というキーワードは、他ジャンルの動画を見て気づかされたことです。
また、季節のイベントなどは各ジャンルと連携をとって進めていけるのも面白いですね。これからの時期だと、ハロウィン。ハロウィンは、フード、メイク、ファッション、DIY、すべての面で大きく関わってくる一大イベントです。

 菅原:ハロウィンが終わると、すぐにクリスマス…。イベント続きで忙しくなる時期ですよね。

 

 

ボウルは1度に2つまで。味の想像できる食材を使うこと。

 

菅原:まず、DELISH KITCHENでは、なるべく一直線の工程でできる料理を選んでいます。ちょっとしたことなのですが、1つの料理で大きなボウルを2つ以上使わないこと。たとえばケーキを作る場合、1つのボウルで小麦粉を混ぜ、もう1つのボウルでメレンゲを作り、さらにもう1つのボウルで別の調味料を混ぜるなどという複数の工程が出てくるのが一般的です。ですが、こういったやり方ですとキッチンのスペースをとりますし、洗い物も増えてしまう。自分なら作りたい気持ちにはなりにくいので、レシピや作り方はできる限りシンプルであるべきだと考えています。

: HOW TO系の動画では、面倒くさくないことは必須だと感じます。やはりC CHANNELでも、「レンジだけでできる料理」など、簡単で取りかかりやすいものが人気です。器具1つにしても、一般の家庭に置いてあるかどうかを考えてから使用するようにしています。いつもメンバーと話しているのは、作る人の立場を想像しようということです。ただ料理動画を配信するのではなく、動画を見た人がどう得するのか、なんのプラスになるのか。どんなシチュエーションで、どんな時に、どういう人が作りたいと思うのか。具体的に想像し、そういった方への課題解決を意識して動画を作っています。

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菅原:また、動画だからこそ見せられるポイントも意識しています。クッキーなどを作る時に、よくレシピ本に「さっくり混ぜましょう」と書いてあるじゃないですか。

:あれ、わかりづらいんですよね(笑)。

菅原:そうなんです。私も料理を始めた当初、「さっくりって、どういうこと?」と思っていたので、そういった部分はわかりやすいように、しっかりと尺(時間)を使って見せるようにしています。

:NG食材もある程度決めていますね。手に入れるのが難しい食材や、映像を見て味が想像できないようなものはあまり使わないようにしています。

菅原:チアシード(サルビア・ヒスパニカという一年草の種子)とかもそうですよね?

:そうです、そうです。動画では匂いや味を直接伝えることはできないので、見て味が想像できないものは、実際なかなか再生されません。

菅原:一方で、旬のものは積極的に取り扱っています。私は、実際にスーパーへ行って、旬の食材や手に入りやすい食材を見てレシピを考えることも多いです。

:季節感は大事ですよね。常に1ヶ月先くらいまでの食材はチェックしています。旬なものは、ベストな時期より少し前に出せるようにうまくタイミングを図るようにしていますね。

 

 

 結果に基づいた試行錯誤が醍醐味

 

菅原:私は小さい頃からお菓子作りが大好きだったんです。大学生の頃には、気づいたら毎日料理をする習慣がついていました。

 

:菅原さんの場合、ご自身が料理研究家として長く料理をし続けているからこそ、気づけることも多いでしょうね。

菅原:たしかに、自らの経験をサービスに活かしていることは多いかもしれません。社会人になって太ってしまった時期があり、その時に栄養バランスの勉強をしていたのですが、その経験があったからこそ、鶏胸肉を使うようなヘルシーでバランスのとれたレシピも提案できています(笑)。

:なるほど。実は、C CHANNELのフードアカウントでは、男性は僕1人くらいなんです。なので、日頃から料理をするという女性スタッフの意見は貴重です。

菅原:そうなんですね。泊さんは、どういった経緯でフード担当になられたのですか?

:僕は、実はC CHANNELに来たのは今年の7月からなんです。もともとテレビ局で映像制作の仕事をしていて、映像や編集の部分で力になりたいと思い入社しました。よりおいしそうに見えるカットを、日々研究しています。

菅原:ユーザーの方に実際に行動に移してもらうためには、そもそも「おいしそうに見えるか」は大前提の要素ですからね。

:ええ。「作って、インスタにあげたい」と思ってもらえるよう、専門のフーディーの方をお呼びし、盛り付けのアドバイスなどもいただいてます。ただ、チーズのとろっとしたシズル感を出すのには毎回苦労しますね。すぐに固まってしまうので…。料理動画は、チーズとの闘いだと思うほど(笑)。

菅原:(笑)。
テレビとインターネットの両方を見てこられて、2つの違いはどう感じますか?

:やはり、インターネットの方が、視聴者にじっと見ていてもらえる時間が短いと感じます。SNSの動画は特にそうですね。なので、当社のコンセプトでもありますが、やはり動画は1分以内。短い時間で得する動画を提供することが求められていると実感しています。それも、ただ1分に収めるのではなく、早回しを使ったり、カメラアングルを変えたりなどメリハリが重要だと感じます。工程を説明する時には俯瞰から全体を撮影して、完成品はおいしそうなシズル感を出すために下からアップの画を撮影して…など。テンポ感をもたせて、飽きさせない工夫が必要ですね。

菅原:DELISH KITCHENでは時間を明確に決めてはいないのですが、しっかり工程を見せることができてかつ冗長ではないように作っていった結果、1分前後になることが多いと感じています。最初に料理動画制作を始めた時は、まだSNS上に料理動画メディアが全然ない時期で…試行錯誤の日々でした。最初は15分くらいの動画をアップしたこともあったんですよ(笑)。Facebookの視聴維持率グラフを毎日チェックして改善していきました。トライ&エラーでわかっていくことも多いなと思います。

:それはやはり、結果が目に見える形ですぐに出てくるからできることですよね。インターネットは、再生回数やエンゲージメント率、コメント数などが一目瞭然。研究材料がたくさんあるなと思います。実際の数値をもとに改善していける点は大変面白く、やりがいを感じますね。

菅原:インターネットの世界は、たとえ数人が発信していることであっても、支持されれば世界中の何百万、何千万人の人に届く。さらに、実際に行動に移してくれる可能性があるなんて、すごいことですよね。この業界で働く醍醐味だなと感じます。

 

 

急成長の火つけ役は「チーズケーキ」と「ソーセー人」

 

:僕が入社する前の話なのですが、C CHANNELは立ち上げ当初、今のHOW TO動画とは違って、自社プラットフォームをメインに投稿型のサービスの方向で進めていました。ところが、ある時、ソーセージにパスタを刺した「ソーセー人」という動画がFacebookを通じて国内外ですごくヒットしまして。そこから、料理、そしてHOW TO動画を増やしていったと聞いています。

菅原:C CHANNELさんの料理には、エンタメ性の高いおもしろレシピも多いですよね。

:そうなんです。最近だと、アボカドをまるまる揚げる「アボカド丸ごと肉巻き」動画が1週間で3000万再生を突破し、世界的にヒットしました。
DELISH KITCHENさんだと、あのチーズケーキの動画が有名ですよね?

菅原:そうですね。フライパンだけでできる、「フライパンチーズケーキ」で再生数が非常に伸びました。そして、もう1つが簡単だけどゴージャスな「フォンダンショコラ」。共通している点は、手順の簡単さとシズル感がすごくあるということです。

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:当たり前で単純ですが、「簡単で、おいしそう」というのはやはり鉄則ですよね。

菅原:はい。そして、多くのファンが集まってくださったのは、DELISH KITCHENを通して成功体験をしてもらえたことも大きいのではないかと思います。DELISH KITCHENでは「明日だれでも簡単に美味しくできる料理レシピ」をご提供しているため、DELISH KITCHENを見て料理をして、誰かに喜んでもらえるという体験をすることができます。いつもInstagramやFacebookにユーザーの方が作った料理の写真がたくさんアップされていて、とても嬉しいです。
DELISH KITCHENでは、そんなユーザーの方とのコミュニケーションを大切に考え、コメント欄のリクエストや質問には1つ1つ返信するように心がけています。ユーザーの方からいただいたコメントへの回答が他のユーザーさんにとっての補足になることもありますし、コメントのやりとりからアイデアが生まれることもあります。

:結果的に、良い連鎖が生まれるんですよね。先ほどの話にもありましたが、インターネットは、良くも悪くも、求められているものと求められていないものがはっきりとわかる世界。ユーザーの方とのコミュニケーションを通じてニーズを理解し、より求められているサービスに改善していくことが、ファンになってもらうためには必要ですよね。

 

 

ブランディング強化とリアルへの展開

 

菅原:スマホでの視聴環境が整い、誰でも動画が配信できて、各プラットフォームが動画に注力してきている今、今後はいかに選ばれる動画サービスにしていけるかが重要になってくると感じます。

:動画は、ますます身近なものになってきていますよね。そんな中で、見た時に「C CHANNELの動画だよね」とわかってもらえるよう、今後はブランディング面を強化していきたいと考えています。全体の方向性や雰囲気はもちろん、テロップの文字などの細かい部分まで、ルール決めも始めています。その上で、料理動画の本数をさらに増やしていく。これが、今ミッションとして掲げていることですね。
また、まだ具体的に進んでる話ではありませんが、将来的には人気の料理をリアルに体験できるような場を作りたいですね。それが料理教室なのか、イベントなのか、カフェなのか、それはまだわかりませんが。

菅原:私たちも、今後、さまざまな展開をしていきたいと考えています。今年の4月には、初めてのレシピ本(『DELISH KITCHEN 毎日のかんたんお菓子』)も出版しました。動画もわかりやすいのですが、個人的には手元に置いて見られる本もすごく好きで…。パラパラとめくって、知らないレシピに出会える体験はすごく運命的な瞬間なので、そんな体験をしていただきたいと思い出版し、多くのファンの方に喜んでいただけました。動画でも確認できるように、QRコードをつけ、連携させています。
今後も、皆さんのライフスタイルが、さらに楽しく、豊かになるお手伝いをしていきたいと思っています。

取材・文グラスタ編集部

グラスタ編集部