ねえMERY、これからのメディアはどうあるべき?

 

女性向けキュレーションプラットフォーム『MERY』が紙の雑誌を発行したというニュースは、紙→webという世の中の流れに逆行するかのような試みとして、IT業界でも大きな話題になりました。一体、どうして雑誌版MERYは発行されたのでしょうか?

これからのメディアの在り方について、『MERY』のお二人に伺いました!

※この記事は、2016年7月発行『Grand Style』7号掲載の記事を編集したものです。

 

mery_1 (左)野崎 耕司(のざき こうじ)
#株式会社ペロリ #コンテンツ事業部 #好奇心旺盛

(右)河岸 美優(かわぎし みゆ)
#株式会社ペロリ #人事部 #リクルーティング #素直

 

■これからのメディアはどうあるべき?

—なぜ、今回MERYでwebアプリ→紙媒体という展開をされたのですか?

野崎:ユーザーの方の体験の幅を広げたいというのが雑誌版MERYをつくった大きな理由です。
webと紙とでは、体験が全く違います。紙の場合、そもそも大きさが違いますし、ページをめくるとか、手に持てるとか、webアプリとは違った体験をユーザーの方に届けることができると思ったんです。
これまで、MERYのwebアプリでは、情報の鮮度や量を重視し、「明日かわいくなれる」という実用的な体験を多くの方に発信してきました。そして、ユーザーの方にさらにMERYのファンになっていただきたいと思った時に必要だと感じたのが、“憧れ感”だったんです。雑誌のような紙媒体は、たった1ページ、たった1枚の写真で、「かわいい!」「こうなりたい」という憧れの感情を生み出すことができます。雑誌版MERYを書店やコンビニに置くことで、表紙を見て、単純に「かわいい!」と、コンテンツが面白いというのとはまた違う入り口から、MERYに出会ってもらえる可能性もあります。webは“実用性”、雑誌は“憧れ感”というのが、両者の本質的な違いなのかなと感じます。この両面から、ユーザーの方に新たな体験をしてほしいと思っています。

 —130ページもある雑誌で、このクオリティで、1冊500円(税込)という価格設定の秘密について教えてください。

野崎:せっかく雑誌をつくっても、見てもらえなかったら意味がありません。実際に手に取っていただくことを第一に考え、購入のハードルを下げようと1冊500円(税込)という価格にチャレンジしました。とはいえ、やはりコンテンツのクオリティはとことん追求したい。そこで、クリエイティブディレクターには『NYLON JAPAN』や『SHEL’TTER』の編集長でもあるカエルム社の代表取締役・戸川貴詞さんを迎え、雑誌全体の方向性やクリエイティブなど、両社でアイデアを出し合って制作した結果、このような仕上がりになりました。そんな価格設定とクオリティへのこだわりの甲斐もあってか、創刊号は5万部発行したのですが、おかげさまで発売後3週間でほぼ完売状態となりました。たくさんの方に読んでいただけたことが嬉しいですし、広告主や各ブランド、モデルの方などにも雑誌のクリエイティブに対して高い評価をいただき、「新しいことやってるね」「面白い媒体だね」とポジティブな印象を持っていただけました。

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—webアプリと雑誌、それぞれの制作過程で異なると感じる部分はありましたか?

野崎:今回、実際に雑誌をつくってみて、コンテンツの切り口や見せ方はwebと紙で大きく違うと感じました。たとえば、同じスニーカーという商品を扱うとします。雑誌では、スニーカーマニアだという高橋愛さんの私服スナップなどを掲載し、スタイリングやアイテムの紹介がメインとなるコンテンツに仕上げました。一方、webアプリでは、高橋愛さんに「おしゃれな靴紐の結び方」を教えてもらうというHOW TO系の記事にしています。webと紙では、先ほどの「web=実用性」「雑誌=憧れ感」という本質的なそれぞれの特徴があるので、一言に雑誌とwebアプリを連動させると言っても、単純に片方をもう片方に転載するだけだと、なかなかユーザーの方の欲求は満たせないのかなと感じます。今後も、さらにwebと紙で相乗効果を図っていけるよう、連動方法については考えていきたい部分です。

—今後も雑誌版MERYは発行されるのですか?

野崎:雑誌は、今後も継続して発行していく予定です。次号は8月を予定しています。
ただ、ユーザーの方の体験の幅を広げるという観点では、できる展開は何も紙だけではないと思っています。今回も、雑誌版MERYの創刊に合わせて、商業施設との連動という形でPARCOさんとキャンペーンを行いました。MERYの記事内で対象アイテムに「LOVEボタン」を押すと、商品券が抽選で100名様に当たるというもので、全国の店舗にMERYオリジナルPOPも設置しました。web→リアルという展開ですね。
また、当社では、月額980円で毎回3000円でネイルができるなど、お得な月額制ビューティパスポートを提供する『MERY PASS』というサービスも運営しています。これは、MERYでかわいいものを見つけて「ほしいなぁ」と思った時に、それを素早く簡単に実現してもらい、体験の奥行きを広げる価値として提供しています。今後も、MERYと接触できる場所を増やすために、web→紙、web→リアルなどそれぞれの体験に応じた適切なコンテンツをつくっていきたいと思っています。

■これからのメディアに求められるのはどんな人?

—どんな人がキュレーションメディアを仕事にするのに向いていると思いますか?

河岸:これはMERYだけに限らないことだと思うのですが、“変化を楽しめるかどうか”というのが一つあると思います。当社は、今次々と新しい事業が立ち上がっているフェーズでもあり、今やっている仕事を半年後も同じようにやっているかどうかはわかりません。そういうカオスな状況にも柔軟に対応し、前向きにチャレンジしてくれる姿勢があるといいなと思います。かつ、日々環境や市場が変化するなかでも、しっかりと“事に向かえること”は大事だと思います。どんな時も、ブレずに目的志向を持ち続けられることが必要ですね。当社は特にスピード感を重視しているカルチャーがあるので、変化をポジティブに受け止め、どんどんと成長していける人材を求めています。なんといっても2000万のユニークユーザー(※)、それもトレンドに最も敏感な世代を相手にしているので、やりがいはかなりあると思います! また1人の裁量幅が広いからこそ大きな施策に携われますし、自身が企画した施策に対してたくさんのユーザーの方からの反応が数字や声ですぐに届くのは当社ならではですね。

※ユニークユーザー:Google Analyticsの集計によるのべ月間利用者数のこと。1ユーザーによるスマホやPC等からのデバイス横断でのアクセスの重複も一部含む。MERYのデバイス比率は、スマホ93.8%、PC6.2%。

—職場にはどんなタイプの人が多いのですか? やはり、キラキラ女子?

 河岸:MERYのサービスのイメージからすると少し意外かもしれませんが、キラキラというよりも、むしろ“尖った大人”という方が近いかもしれません。事業部によってそれぞれのカラーもありますが、皆、何かしら強い個性と高い専門性があり、ビジネス視点を持ち合わせています。代表の中川をはじめ、学生のうちから起業したり、ビジネスに関わってきた経験を持つメンバーが多いこともあり、 “ビジネスとしてMERYをどう大きくしていくか”に全力コミットしてくれている印象が強いです。実は、男女比も、当社は男:女=6:4くらいですよ。

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—どのようなスキルがあるといいと思いますか?

 河岸:職種にもよりますが、当社には「情報収集力」の高いメンバーが集まっていると感じます。MERYのコンテンツをつくる編集の立場であれば、おしゃれやトレンドなど「かわいい」のキャッチアップはもちろん、今流行っているwebサービスや世間で注目されているビジネスなど、多方面にアンテナを張っていることが望ましいです。そして、単に「見る」「知る」だけではなく、そのサービスがユーザーの方にとってどう良くて、今後どんなビジネス展開が予想されるかなどにまで広げて考える癖をつけておくといいと思いますね。

あとは、やはり「センス」でしょうか。センスというのは、主観も入ってくるので難しい部分ですが、私たちの仕事は、感覚的なものをどうマネタイズしていくかを考えることでもあります。なぜイケてるのか、なぜイケていないのか。感覚的なものへのこだわりを追求し、自分たちなりのロジックを立てて、センスを磨いていく必要があると思いますね。そして、繰り返しになりますが「カオス」を楽しめる感覚ですね(笑)。

 

取材・執筆/坪井安奈 Grand Style7  20167月発行

 

 

 

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