経営者の朝時間③〜アカツキCEO・塩田さんの場合

朝を征するものは1日を征すー
織田信長は朝4時に起床して馬術を鍛錬し、イギリス初女性首相のマーガレットサッチャーは朝5時半に起床してニュースを隈なく聞いたのだとか。世界の名だたる偉人は、朝を征する者だらけ。
では、IT企業の経営者の方々は朝をどのように過ごしているのでしょうか?
経営者の朝時間・第3回目は、株式会アカツキ CEO ・塩田元規さんにお話を伺いました。

 

※この記事は、2016年4月発行『Grand Style』の記事を一部編集したものです。

morningtime3
株式会社アカツキ代表取締役 CEO 塩田 元規(しおた・げんき)
1983年生まれ。横浜国立大学電子情報工学科を経て、一橋大学大学院MBAコース卒業。 ’08年、新卒で(株)ディー・エヌ・エーに入社。アフィリエイト営業マネージャー、広告事業本部ディレクターを経て、 ’10年に(株)アカツキを設立。

 

■朝は自分と向き合う“瞑想”の時間

―普段、平日の朝は何時に起きて、どのように過ごされますか?

だいたい6時半~7時に起きますね。起きたらまず軽くストレッチして、お風呂に入ります。また、よくやるようにしているのが“瞑想”です。瞑想と言ってもシンプルで、自分の呼吸に集中して、15分くらい自分と向き合う時間を作るんです。最近だと、マインドフルネスとも言われていますよね。特に朝、なんかモヤモヤする時にやると、すごくスッキリしますよ。
その後、胸に手を当てて目を閉じて、「今日も最高の1日になる」って自分に言い聞かせたり、夢や目標を確認したりもします。あとは、メンバー(社員)の顔を思い浮かべながら「ありがとう」って感謝をしたり。メンバーが会社にいることって当たり前じゃないのに、毎日のことになるとつい感謝の気持ちを忘れそうになってしまうんで、ありがとうと思う時間を意識的に作っています。もちろん、時期によって内容は多少変わったりしますが、朝はそういう細かいワークを通して、自分の中心に戻る時間にしています。

―いつから、どういうきっかけで瞑想をするようになったのですか?

瞑想自体はもう2、3年やっていて、始めたのは創業3年目くらいの時でした。起業したばかりの頃は、マンションの一室でずっと寝泊まりして働き詰めだったんですが、そういうバーっと走るフェーズの時って、体力的には辛いけど、気持ち的にはある意味で楽なんですよね。走ればいいので。ただ、3年目くらいになった時に、人数も増えて、今までにはなかった問題がいくつか起こったんです。組織や人の問題とか。たとえば、退職者が出た時などは、最初は、自分自身が否定されているような感覚にも陥り、ショックを受けたりもしました。経営者は全員通る道なんですけど、まだまだ未熟だったんですね。そういう過程のなかで、精神面のレベルアップやコントロールの重要性が増してきて、瞑想をするようになったんだと思います。経営って、自分の内面と向き合うような仕事だとつくづく感じます。不思議なんですが、自分の内面が変わったり成長したりすると、組織全体も変わったり成長したりするんですよね。

―朝はもともと強い方ですか?

いえ。激弱です(笑)。僕はかなりの低血圧で、毎朝起きる時は辛いですね。通常だと朝テンションが低かったり、イライラしがちな奴なんです。でも、朝からそんな奴がいたらイヤじゃないですか。だから、出社時に自分が絶好調でいられる状態にもっていけるように調整しています。朝のワークもその一環です。ただ、それだけ頑張っても、低血圧に負けて、朝はテンション低いですねってメンバーから言われる日もたまにあります(笑)。

 

■“朝会”で毎朝、全社員と顔を合わせる

―9時から朝会と伺いましたが、この業界では早いですよね?

そうですね。朝9時に皆で集まって朝会をしています。朝9時にしたのは、圧倒的に朝の方が効率がいいと思ったから、そして朝早い方が気持ちいいと思ったからです。創業初期からこの時間に朝会をしています。朝30分やれば片付くことが、夜だとダラダラして3時間かかることって往々にしてあるものです。それに、人間、どうしても昼食後は作業効率が下がってしまうと思うので、昼食を食べるまでに、ひと仕事終えられる時間を確保したいと思ったんです。シンプルに集中力の高い朝の時間を大切にするということです。朝8時や8時半からミーティングを入れているメンバーも結構いますよ。
でも、だいたい朝って皆眠いじゃないですか。満員電車に揺られて出社すると、まだ何も仕事はしてないのにすでに疲れた気がしますよね(笑)。そこで、朝の時点で皆を高いモチベーションにもっていけるように、朝会でぐっと元気が出る仕組みを取り入れています。毎朝9時に全社員が顔を合わせ、まず「good & new」というものを行います。5~6人でランダムに輪を作り、ボールを投げ合いながら24時間以内にあったいいこと・新しいことを話してシェアします。その後、毎日担当持ち回りで、日々考えていることや何か面白いと思うことについて5分間プレゼンを行います。朝会全体で15分くらいですが、朝会をやると元気でポジティブな雰囲気とマインドになりますよ。それに、メンバー同士、朝お互いの顔を見て挨拶するだけで、なんだか安心するんですよね。僕も朝会は楽しみです。

―本当に全社員が朝に集まれるものですか…?

1、2分遅刻する人も正直たまにいますね。ただ最近では、毎朝、有志社員が自主的に会社の外の入り口に立って、気持ち良く挨拶をする会みたいなのが立ち上がっています。会社の指示ではなく、勝手に始めてるんですよ。僕も朝出社したら、いきなりメンバーが入り口に立っていてビックリしました(笑)。メンバーが自分たちで考えて、自分たちでソリューションを作るという文化が根づいているなぁと嬉しくなりました。僕たちはトップが全てを決めるのではなく、それぞれの現場でクリエイティブに意思決定が行われる組織でありたいので、こういう自発的な取り組みは本当に素晴らしいと思います。それに、当たり前のことですが、朝ちゃんと挨拶するってやっぱり気持ちいいですよね。僕個人としても、そういう人として当たり前のことが大切だと強く感じていますし、当たり前のことができない会社は、結局伸びないと思うんです。

 

 

■夜や休日はインプットの時間

―朝に対して、夜は塩田さんにとってどのような時間ですか?

頭を使って思考する仕事は朝するようにしているので、夜は作業的な仕事をするか、もしくは本、漫画などのインプットの時間に充てています。また、夜30分くらいは運動をしたりもしますね。今になって、ビリーズブートキャンプをやってます(笑)。家なら移動時間も必要ないですし、短時間運動の方が健康的にいいとも聞くので。

 

―休日の過ごし方はいかがですか?

休日もどんなに遅くても9時くらいには起きて、土曜の午前中はジムに行きます。その後は、なんだかんだで会社に来てしまうことが多いです。少なくとも土日どちらかは出社していますね。

 

■最小の努力で最大の成果を

―時間の使い方で、他に心がけていることはありますか?

時間は有限で大切なものっていう認識を持つことですかね。僕の父親は37才でガンで亡くなっていて。37才で人の命が終わるという体験をして、自分もいつか死ぬということをリアルに感じるようになりました。それから、自分の命の使い方を考えるようになって、高校生くらいの時にITやベンチャーに興味を持ち、20才で経営をやると決めて今に至ります。終わりを意識すると、毎日の時間が大切だし、日々がすごく素敵だなと思えますね。当たり前の毎日にも感謝できるようになりますし。
ちなみに、アカツキは昨年5周年を迎えたんですが、僕自身が父が亡くなった37才になるのがちょうど創業10周年なんです。だから、今年度はちょうど真ん中で、新しい変革と進化の年だと感じています。

―起業にはそんな経緯があったのですね。社員の方に、時間の使い方で言われていることはありますか?

大前研一さんも言われていますが、人生を変えるのって時間配分が非常に重要だと思います。最小の努力で最大の成果を得るようにというのは自分自身にも言い聞かせていることです。といっても、効率化を追い求めると目の前にあるものばかりにフォーカスしがちなので、第二領域と言われる“重要だけど緊急じゃないこと”に先に時間を割くようにしています。重要なことにしっかり時間を作るためにも、効率化できることは効率化するという考え方です。3ヶ月に1回は時間を気にせず、メンバー全員で集中的に第二領域を考え抜く日を作っています。この領域は、たった1時間費やすだけでも質が10倍にも20倍にもなりますから。最高のものづくりをするための組織作りや、アカツキらしさの醸成など目に見えないものがそこに当たることが多いです。たとえば、相手とちゃんと向き合う時間を作ることもそう。信頼関係が構築された組織の方が、当然高いモチベーションで仕事ができて楽しいですよね。さらに言えば、信頼関係が構築された状態だと、作業時間はすごく圧縮されます。同じ説明をするにしても、何かいいことやろうとしてるんだな、皆のことを考えて言ってるんだなと思えるかどうかで受け入れやすさや吸収率が違いますし、組織内のスピード感も変わってきます。

 

■2016年は変革の年

―3月17日には東証マザーズへの上場を果たされましたが、今年はどんな年にしたいですか?

さっきの話と重複しますが、今年は変革かつ進化の年。アカツキらしさのように変わらないものは意識しながら、やり方はどんどん見直し、今まで以上に僕も含めてメンバー一人ひとりが自立して、互いに信頼し、委ねていける組織にしたいと思っています。
また、いわゆるエンタメとしてのゲーム事業以外にも、新規事業をいくつか予定しています。ワクワクする体験をさまざまな軸で提供する会社としてアカツキの輪を広げ、世界をよりワクワクと愛にあふれた感情報酬で発展する場所にしていきたいです。

 

※取材・執筆/坪井安奈 『Grand Style』6号 2016年4月発行

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします