pickup

2016年9月2日

経営者の朝時間④

リッチメディアCEO坂本さんの場合

朝を征するものは1日を征すー
ウォルトディズニーCEOのマーク・パーカーは朝4時半に起床して空想し、ゼネラルエレクトリックCEOのジェフリー・イメルトは朝5時半に起床して新聞を隈なく見るのだとか。世界の名だたる経営者は、朝を征する者だらけ。
では、IT企業の経営者の方々は朝をどのように過ごしているのでしょうか?
経営者の朝時間・第4回目は、株式会リッチメディア CEO 坂本幸蔵さんにお話を伺いました。

※この記事は、2016年4月発行『Grand Style』の記事を一部編集したものです。

 

株式会社リッチメディア

代表取締役社長

坂本 幸蔵

1982年生まれ。摂南大学卒業後、'06年に(株)サイバーエージェントの大阪支社に入社。新人賞などを連続受賞し、'07年に子会社の(株)CAテクノロジーの取締役に就任し、上京。その後、'10年に退職し、リッチメディアを設立。

 

早朝出社で、1日のタスクを完了

 

―普段、平日は何時に起きて、朝どのように過ごされますか?

僕はいつもだいたい6時起きです。平日でも週に2〜3日はランニングをして、朝食をとって、新聞を読み、家族との時間を楽しんでから8時半くらいに出社します。
経営者になってから、朝一で必ずやることが2つあるんです。1つはFacebookの「今日は〇〇さんの誕生日です」の表示を見て、「おめでとう」とコメントすること。もう1つは、お会いした一人ひとりに、直筆で「感謝」の文字を入れた手紙を送ること。お祝いや感謝の気持ちから1日をスタートさせています。

 

 ―そのために8時半に出社するんですか?

いえ、8時半出社の理由は自分のタスクを終わらせるためです。当社の始業は9時半なのですが、始業後はメンバーからの相談や意思決定をする時間に費やしたいので、9時半までにその日の自分のタスクを全て終わらせると決めています。タスクを抱えた状態だと、気持ちに余裕がなくてゆっくり話を聞けないと思うのです。
タスクとしては、メールの返信、資料作成や各部署の進捗確認など。それらを朝の1時間で終わらせます。やはり1日頭をフル回転させた夜よりも、朝の方が生産性がよいと思いますね。

 

“当たり前の徹底”が信頼を生む

 

―昔から朝には強い方ですか?

もともと弱くはないですが、実は、6時起きの生活は新卒1年目から続けていて、習慣化されています。
新人時代は、とにかく“当たり前の徹底”を心がけていました。当時、僕は同期の中だけでなく、サイバーエージェント全体で1位になろうと意気込んでいたのですが、10年目の社員と新人の自分をスキル面で比較しても、当然負けてしまう。インターネットの知識やスキル、営業力は、先輩の方が圧倒的に上ですよね。でも、たとえばメールのレスポンスの早さとか、時間や約束を守るとか、早く出社するとか、そういう当たり前のことであれば、同じ土俵で戦えると思ったんです。それに、“当たり前の徹底”は信頼関係に繋がります。6時起きの生活は、そういう理由から始めました。
他にも、『7つの習慣』に書いてあることを全部取り入れようと思って実践していました。多くの人は本を読んだだけでできた気分になりがちですが、実行して、再現性のあるものになって初めて“できた”と言えるものです。どんなに当たり前のことでも、自分が再現性のある経験に変えられるかどうか、それが重要だと思います。

 

30代からはインプットの取捨選択を

 

―朝に対して、夜は坂本さんにとってどのような時間ですか?

夜はほぼ毎日、人と会う時間に使っています。お客さんやお世話になっている方々、会社のメンバー。そして、尊敬する方や先輩経営者に話を聞き、自分の中に落とし込むインプットの時間でもあります。
ですが、ただ楽しい時間を求めているわけではありません。20代は裾野を広げるタイミングなので、とにかく全てがインプットに繋がると思うのですが、30代を過ぎるとそうもいかなくなる。ある程度経験がついてくると、自分の中で本当に必要としているものを取捨選択していかなければならないと感じます。何に対して、どういうことを学びたいのかを明確に決めておかないと、本当の意味でのインプットはできないですし、目的達成は難しいと思いますね。
いつも寝るのは、だいたい12時から2時くらいです。それで6時に起きるので、継続できるように、体質改善も仕事づくりの一つだと捉えています。

 

―休日の過ごし方はどうですか?

休日も変わらず6時起きです。そう言うと驚かれるのですが、これはある意味、自分自身のためでもあるんです。1日をいつも通りスタートさせ、自分にとってベストな状態を作るために、自分で環境を構築することを心がけています。

 

 ―休みの日まで、ストイックな生活にこだわる理由は?

休日は、起床したらランニングをします。土日の合計で、おおよそ10キロ以上は走るようにしています。もちろん、健康のためでもありますが、もう一つ理由があって。経営者がよく、トライアスロンやマラソンをやっていることがありますが、それはどんな状態でもスピードよく最適な意思決定ができるようにするための訓練だと思っています。経営というのは、長期戦です。ランニングは、長い目で見た意思決定をする訓練や経験になる気がしています。
あとは、人に会ったり、本を読んだり。これまではビジネス書が多かったのですが、最近は歴史や古典も読むようになりました。結局、歴史って繰り返されるものなので、そういった本から学べることは多いと感じますね。

 

幼少期の経験がストイックさの源

 

―どうしてそんなにストイックでいられるのですか?

自分ではあまりストイックだと思っていないのですが、幼少期の経験が大きいかもしれません。僕は幼い頃から父親がおらず、母親が働きながら僕を育ててくれたのですが、ご飯もろくに食べられないような貧しい生活を送っていた時期がありました。そのおかげと言ったら変ですが、幼少期のその経験を強烈に覚えているので、自分が少しでも手を抜くことに不安を感じるんです。またあそこに転げ落ちるんじゃないかって。だから、休日にSNSなどで誰かが最新情報に触れていたり、勉強したりインプットをし続けている姿を見ると、「自分も努力しないと」と焦る気持ちが生まれますね。
それに、転げ落ちるのが自分だけならまだしも、今は経営者として多くの社員を抱えています。何があってもメンバーたちに辛い思いをさせたくない、という想いがあるので、それが原動力になっているのかもしれません。

 

“やらない仕事”を決めるのがタスク管理

 

―時間の使い方に関して、社員の方に言われていることはありますか?

タスク管理についてはよく話しますね。タスク管理って、効率的に仕事をして、なるべく短い時間で目標達成をするために行うことですよね。ですが、勘違いしている人が多いなと思っていて。書き出したものが全部、“やらなきゃいけないこと”になっている場合が多いんです。でも、僕は“やらないことを決めること”がタスク管理だと思っています。本当にその仕事はやる効果や必要性があるのか。その意思決定をするために書き出して、緊急度と重要度に分けます。そして、やらないで済ませるためにはどうしたらいいのかを考える。最短で目的達成するためのタスク管理を覚えなさい、と社員には話しています。
時間の使い方以外では、常に自分の軸をもとに意思決定をするよう伝えています。人からどう思われるかではなく、自分がワクワクするかどうか。自分自身がどうしたくて、どうなりたいのか。一時的に人に認められたところで、それは何かを保証してくれるものではありません。自分の物差しを大事にし、自分を信じてあげることが重要だと思います。それが組織や仲間を信じることにも繋がると思うんです。

 

世の中に貢献できる企業へ

 

―今年はどんな年にしたいですか?

今、当社のメディア・サービスは月間1500万人以上の方に利用いただき、事業としては1つの基盤ができてきたと思っています。しっかりと根を張りながらも、さらに未だないサービスや世界観を作っていきたいです。日本という国に対する最大の社会貢献は、やはり企業として業績を上げることだと思います。当社のサービスに共感し、喜んでくれる人を増やして、世の中に貢献していける会社にしていきたいですね。

 

取材・文グラスタ編集部

グラスタ編集部