special

2016年6月24日

タカラトミー・オプト 『人生ゲーム』の事例

動画広告 ✖ SNS を用いた新たなweb広告戦略

「空港で人生ゲームやってみた」
2016年の年明け、そんな動画がFacebook上に流れてきた人も多いのでは?
『人生ゲーム』といえば、誰もが一度は遊んだ王道ゲーム。そんなゲームのPR動画をなぜ今つくったのでしょうか。その背景やエピソード、さらにweb動画の今後についてお伺いしました。

※この記事は、2016年4月発行『GrandStyle 』を編集したものです。


zinseigame

 


(中央)株式会社タカラトミー 次世代マーケティング部WEBマーケティング課
竹川 洋志
ゲーム、玩具業界でプロモーション、マーケティング業務に携わった後、現在はタカラトミーでwebをはじめとしたマーケティング企画を遂行するチームを率いる。

(右)株式会社オプト オンラインビデオアドソリューション部
松本 康成
TVCMディレクターを経て、さまざまな企業のブランディングやwebのマーケティングプロモーションに従事。本動画のクリエイティブディレクター。

 (左)株式会社オプト ブランド戦略部 部長
榎本 佳代
ダイレクトプロモーションの経験を基に、デジタルを活用したブランディング支援に従事。メディア、生活者の環境変化に合わせたマーケティング提案を行う。

 

 

空港で“リアル”人生ゲーム。ロングセラー商品に鮮度を

 ―なぜ今、『人生ゲーム』を動画でPR?

松本:今日は、2016年1月8日から公開している動画『人生ゲーム「人生に驚きと歓びを」篇』の事例をもとに、webや動画広告の今後についてお話しします。よろしくお願いします。

竹川:タカラトミーは、『人生ゲーム』をはじめ、『黒ひげ危機一髪』や『リカちゃん』など、世の中で広く知られているロングセラー商品を多く扱っています。ただ、ロングセラー商品というのは、長く愛していただいている反面、商品自体の鮮度を保ち続けることが難しい。そこで、ロングセラー商品に新たな鮮度を出したいと思い、オプトさんと協力して今回の動画を制作したんです。

松本:はい。誰もが知っている『人生ゲーム』を、今までと違った角度で見せたいと思いました。おかげさまで、動画再生回数は1千万回を超え、大きな反響をいただいています。1千万回のうち、約7割がFacebookから、2割がTwitterからの流入という内訳です。

竹川:目標の100万回再生を大きく上回る結果でした。ちょうど最新版『人生ゲーム』のリリースも控えていて、ティザーキャンペーンの意味合いも含んでいましたが、1年の初めに『人生ゲーム』に乗せて何かメッセージを送れたら…というのが今回の着想です。

松本:今回は広告というよりも口コミでのオーガニックのリーチを高めることを目的としていたこともあり、SNS上でのweb動画という手段を用いました。

榎本:最近は、“つくりもの”に対して強いアレルギー反応を持つユーザーもいますし、広告だとわかった瞬間にシャットアウトされてしまうこともありますからね。

松本:ええ。それも見せ方次第ですが、“広告の動画”と“友人の推奨動画”ではユーザーの受け入れ方が全く違うので、“友人知人がシェアした動画”という視点で視聴されるように考えました。

 

 

要素の掛け合わせがバズを生む

―今回の動画のバズ要素とは

バズ要素①:ベースの認知

松本:まず、「リアル人生ゲームやってみた」だけで、誰もが動画の設定を理解できることが大きかったと思います。

竹川:そうですね。すでに多くの方が周知のゲームなので、「人生ゲームとは」というそもそもの説明を省略できましたし、オンリーワンのプロダクトなので、何かと比較・差別化する必要もなく、動画のクリエイティブだけに集中できたのは幸せでした。

榎本:ベースの認知があったので、視聴者の拡散や反応スピードが速かったのでしょうね。

竹川:この点は、他のベストセラー商品にも活かせるポイントだと思います。

 

バズ要素②:笑い×感動

松本:感情の掛け合わせも意識した部分です。最近は「ユーザーが“感動疲れ”している」とも聞きます。なので、冒頭からいかにも泣かせモードではなく、まずはユーモアから入り、後半に意表を突く形で感動を持ってきました。

竹川:感情のギャップが生まれて、意外性がありましたね。目の肥えた視聴者を良い意味で裏切れたのではないでしょうか。

榎本:「お笑い系かと思って観ていたら、最後泣けてヤバかった」など、実際にもそういったコメントが多かったですね。

松本:コメントを見ていると、感動軸もまだまだ有効だと感じましたが、とはいえ、今後は要素の掛け合わせや意外性はさらに必要になってくると思います。今回の動画内には、“笑い”“感動”の大きな軸だけではなく、“成人式”“結婚式”“親子愛”“サプライズ”など、細かい要素も散りばめました。

zinseigame1

 バズ要素③:リアリティの追求

松本:そして、リアリティの追求が多くのユーザーの共感を呼べたのかなと感じます。今回、サプライズを受ける人のリアクションはすべて一発撮りですし、なるべくつくり手の意図を感じさせない撮り方にこだわりました。

竹川:それに、“成人式を迎える娘さんと、結婚式を挙げていないご両親”というご家族は、設定したものではなく本物のご家族ですからね。

榎本:本当に奇跡的なキャスティングでしたね。リアルストーリーで動画を制作していたので、ユーザーが共感し、シェアしやすかったのも成功の要因だったと感じますね。

竹川:撮り直しの効かない、出来高次第の一発勝負。始終、緊張感の漂う撮影でした。本当にドキドキしましたね(笑)。

 

バズ要素④:世代・メディアごとのアプローチ方法

松本:マーケティングにおいては、世代ごとに拡散要素を整理し、アプローチ方法を変える工夫をしています。“成人式”“結婚式”“親子愛”…年齢によって共感するポイントは異なるので、たとえば、主婦だったら結婚式、20代なら成人式…というように、アプローチする世代に合わせて、出稿する際の見出しやテキストの切り口を変えたり、工夫を凝らしました。

榎本:デジタルはターゲットに合わせて適切な配信設計ができるため、世代だけでなく、メディアごとにもテキスト表現の調整が必要だと思います。たとえば、Twitterなら“新しい”に反応した人がリツイートしたり、動画メディアのgrapeなら“感動”して誰かに伝えたくて拡散するなどの特性があるので、メディアごとの拡散経路の違いも意識していくことでユーザーの反応も大きく変わると思います。

松本:表示されるムービーキャプチャも、世代ごと・メディアごとに10通り以上制作しました。自然とシェアしたくなるように、ターゲットに合わせて設計をしていきました。

竹川:常にユーザーの反応を見て、検証をしながら運営をしていただいたので、アプローチの確度はどんどん高まっていったと実感しています。

 

1 2

取材・文香川 妙美

1980年、山口県出身。音楽業界での就業を経て、2005年より自動車関連企業で広報に従事。2013年、フリーランスに転身。カフェガイドの企画・執筆を振り出しに、現在までライターとして活動。学習情報メディア、広告系メディア等で執筆するほか、BtoBライターとして各種制作物を手掛ける。スタートアップを対象に広報コンサルタントとしても活動中。